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公開から25年!映画「就職戦線異状なし」から見る就職の現状との違いは?


就職戦線異状なしはもはや都市伝説ではないかと思われていた事実が、これでもかというほどたくさん登場する青春映画です。具体的に言うと手をあげてもタクシーが全然止まってくれないとか、企業側から学生たちに贈り物や過剰な接待があるなど今では考えられないことのオンパレードです。同じ時代に青春を謳歌していた人たちにとっては懐かしいものですが、それを知らない世代にはまるでファンタジーのように感じます。きらびやかな照明が光り輝くクラブやディスコの店内にとても大学に通っているとは思えない派手な身なりをした学生たち、ソバージュヘアや太い眉毛に真っ赤な濃い口紅など就職戦線異状なしは映像としても面白い作品です。

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写真:kenjasyukatsu.point 67 | com
バブルがはじける直前の就職状況は超売り手市場と呼ばれていて、企業側は就職内定となった大学生たちをキープしておくため涙ぐましい努力で囲い込もうとします。会社一筋に生きてきた上司の立場であるおじさんたちが必死になっている姿は現代ではとても考えられず、映画を作るために誇張していると思うようなエピソードが次々出てきますがすべて事実に基づいたものというのが驚かされます。現代の就職活動といえば誰もがリクルートスーツに身を包んで黒髪にし、自己PR欄に優等生の経歴を書きこむのが鉄則です。就職戦線異状なしに出てくる主人公は就活ビギナーで気楽にテレビ局の模擬面接に行くのですが、今とは違いとても考えられない行動です。point 371 | 1

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写真:kenjasyukatsu.point 73 | com
バブル崩壊後各企業の新卒採用は量を重視していた時代から質へと大きく転換し、厳選採用という言葉が定着しています。バブル期以前と比較すると質を重視するため新卒採用時のハードルはかなり上がっていて、コスト削減によって企業の人材育成機能が弱められたことが背景にあります。時間的に早く結果を出すことを求められたため、何も知らない新人を採用して入社後にじっくり育てるというような既存の新卒一括採用の前提は崩れてきているのが現状です。現代の企業が求めるのは即戦力になりうる優秀な人材であり、就活戦線異状なしに出てくるような誰でもいいからとにかくうちに就職してくれという時代は幻になっています。企業側がせっかく採用したのに数年以内あるいはすぐに離職してしまったとか、採用してみたが物足りないなど欲しい人材が十分に採用できないミスマッチが多く聞かれます。point 444 | 1

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写真:furusato2.point 69 | tori-info.point 79 | co.point 82 | jp
これは大学生が増加して質が変化していることが考えられます。1990年代以降に大学の定員の拡大が進んだ結果進学率が2009年には5割に達し、この20年間で大卒や大学院卒の就職希望者は1.point 176 |

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5倍に増加しています。また少子化のため18歳の人口が減少していて、大学側は学生数を確保するため推薦入学やAO入試などに力を入れるようになりました。point 73 | 1

 

 

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写真:gakusei-susume.point 153 |

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その結果一般の入学選抜試験を利用して受験した学生が5割に満たない大学が増え、ゆとり教育世代の影響もあり基礎学力の不足が指摘されています。大学生の数は大幅に増えたのはよかったのですが、質については企業が期待している状況ではなくそれよりもばらつきが出ている結果となっています。採用活動が大学3年から始まるようになったため、大学で何を身につけたのかや何を学んだのかといったことが選考材料にできない状況になっています。学生側も語ることが出てこない状況のため面接ではマニュアル本にあるような受け答えしかできず、どうも物足りないと思われミスマッチにつながっています。point 280 | 1

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写真:gakusei-susume.com
日本全体で考えるとこうした新卒採用時におけるミスマッチは、非常に大きな社会的損失を生んでいるといえます。就職氷河期に卒業した人へ再挑戦のチャンスが与えられるなど、既卒者の就活にもスポットを当てて考えるべきです。

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